【カビの色による6種類と特徴】 吉田 省司 先生 健康耳寄り情報 Vol.76
カビの仲間は、今も新しい種類が発見されています。
人類にとって、一番身近な生物と言っても良いかもしれません。
地球上の微生物のうち、
実に36%がカビの仲間だと言われています。
醗酵の食文化で身近なカビを色分けし、
6種類に分けて見ていきましょう。
①黒カビ
家の中全般に存在している黒カビは、
カビの中でも最も一般的なものです。
代表的な黒カビは、
「クラドスポリウム」
という正式名称を持ち、
どこにでもある土壌菌で、
空気中にも多く浮遊しています。
黒カビはアルコールや熱に弱く、
カビの中では比較的除菌が簡単な部類に入ります。
黒カビそのものに毒性はありませんが、
エアコン等に繁殖することで、
アレルギーや気管支疾患の原因になるので注意が必要です。
②赤カビ
赤カビは、
「フザリウム」
と呼ばれる植物病原菌のひとつです。
植物を枯らしたり腐敗させる作用を持ちます。
身近なところでは、
古くなったパンやごはんに多く発生します。
人間や家畜にも有毒な、
「マイコトキシン」
というカビ毒を産生します。
マイコトキシンは非常に毒性の強いカビ毒です。
少しでも赤カビが見られる食品は、
絶対に食べずに廃棄しましょう。
③青カビ
黒カビと同様に、日常生活で最も馴染みのあるカビのひとつです。
空気中に常に浮遊しているので、
パンやお菓子等に真っ先に生えるのは、
大抵がこの青カビです。
特に毒性はありませんが、
青カビが生えているということは、
赤カビ等の有害なカビも生えていると考えるのが自然です。
青カビは抗生物質の原料となる
「ペニシリン」
が含まれており、さまざまな目的で活用されています。
ロックフォールやゴルゴンゾーラなどの
チーズの醗酵にも青カビが使われるほど、
人間にとって非常に関わりの深いカビと言えます。
④緑カビ
青カビによく似た緑色の粉っぽいカビが、
畳の裏や木材に生えることが有ります。
これは、
「トリコデルマ」
というカビで、
青カビとは全く別のものです。
「ツチアオカビ」とも呼ばれるこのカビは、
家の中でも湿気の多いところでよく見られ、
木材の劣化や腐敗を引き起こします。
木造住宅では梅雨時に発生することもあります。
⑤黄カビ
オレンジや黄色のカビは今までのものとは生態が異なります。
これまでのカビが湿気を好むのに対し、
黄カビは乾燥を好みます。
このカビは正式名称は、
「カワキコウジカビ」
ガラスやフィルム、刀剣などに発生します。
カメラのレンズに曇りを生じさせるカビも、
この黄カビです。
⑥白カビ
食べ物や建材などのいたるところに発生する、
フワフワしたカビが白カビです。
色こそ違いますが、
実は青カビや黄カビの仲間であることがほとんどです。
カマンベールチーズやブリーチーズの製造に用いられるカビも「白カビ」と呼ばれていますが、
こちらも生物学的には青かびの一種です。
「醗酵ミネラルエキス」を作る過程でも、
時々見られることもあります。
空気中に常に浮遊しているカビは、
家中どこにでも生えると言っても良いくらい身近なものです。
そして、
人間の生活にも強く関係した物質でもあるのです。